社会保険の種類
保険には公的保険(社会保険)と私的保険(民間保険)があります。
そして社会保険には医療保険、介護保険、年金保険、労災保険、雇用保険が
あります。まずは医療保険の中の健康保険から今回は学習していきましょう。
公的医療保険には、健康保険、国民健康保険(国保)、後期高齢者医療制度が
あります。
社会保険(公的保険)の中の医療保険の中で、
会社員が入る保険が健康保険です。
位置づけを確認しておきましょう。
保険制度の基本用語
保険者 | 保険制度の運用主体 |
被保険者 | 保険の対象となっている人 |
被扶養者 |
一般的に日本に住所があり、年収130万円未満(60歳以上または障害者に |
健康保険(健保)
被保険者(会社員)と被扶養者(被保険者の家族)の病気やケガ、出産、死亡に
ついて給付がおこなわれる保険。
※業務上や通勤途中のケガなどは労災保険の給付対象になります。
健康保険の保険者
健康保険の種類 | 保険者 | 被保険者 |
協会けんぽ (全国健康保険協会管掌健康保険) |
全国健康保険協会 | 主に中小企業の会社員 |
組合健保 (組合管掌健康保険) |
健康保険組合 | 主に大企業の会社員 |
健康保険の保険料
被保険料の求め方
被保険者(会社員)の標準報酬月額(標準賞与額) × 保険料率
標準報酬月額(標準賞与額)
・標準報酬月額:4~6月の月平均給与額を等級にあてはめた金額
下限:58.000円(第1等級)~上限:139万円(第50等級)
・標準賞与額:賞与の1.000円未満の端数を切り捨てた額(上限573万円)
保険料
・事業主と被保険者で半分ずつ負担する(労使折半)
・協会けんぽの保険料は都道府県によって異なる。(介護保険料は全国一律)
・40歳以上60歳未満の人は介護保険料が上乗せされる。
・産休期間中および育休期間中は、被保険者分および事業主分ともに
免除されます。(事業主の申し出が必要)。
療養の給付
業務以外の病気やケガをしたときに、診察や薬剤の支給、手術、入院などの
医療費の自己負担した分の残りが支給されます。
健康保険は75歳までです。75歳からは後期高齢者医療制度の
被保険者となります。
高額療養費
月間の医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合、
超過分が高額療養費として支給されます。
・年齢や所得に応じて本人が支払う医療費の上限が異なる。
・保険外診療や差額ベット代、先進医療などは高額療養費制度の対象外。
試験では、問題文に計算式が記載されるので、表の計算式を
おぼえる必要はありません。ですが、該当する人の多い
標準報酬月額28万円~50万円の80.100円の数字は
覚えておいた方がいいでしょう。
例題 標準報酬月額が28万円~50万円の人が、医療費が150万円かかった
とすると、高額療養費として返金される金額は
①病院に支払った金額:1.500.000円 × 3割 = 450.000円
②自己負担限度額
80.100円 + (1.500.000円 − 267.000円) × 1% = 92.430円
③高額療養費として返金される金額:①-② = 357.570円
傷病手当金
業務外の病気やケガを理由に会社を3日以上続けて休んだ場合に、4日目から
通算して1年6か月間支給されます。
例題 支給開始日以前の12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額が
36万円の人が、病気のため連続して10日間仕事を休んだ場合
①支給対象期間内の休業日数:10日−3日(4日目以降なので) = 7日
②1日あたり支給額:360.000円÷30日×2/3=8.000円
③傷病手当金:8.000円×7日=56.000円
出産育児一時金、家族出産育児一時金
被保険者(会社員)または被扶養者(会社員の妻)が出産した場合、
1児につき50万円が支給されます。
※出産とは妊娠4か月以上(85日以上)で、早産、死産なども含まれる。
※産科医療保障制度に加入されていない医療機関などでの出産は48万8千円。
出産手当金
被保険者が出産のために会社を休み、給与の支払いを受けなかった場合に
支給されます。1日あたりの支給額は傷病手当金と同じ計算式です。
支給期間は出産日以前42日(6週間)から出産後の56日(8週間)のうちで、
仕事を休んだ日数分の金額が支給されます。
埋葬料、家族埋葬料
被保険者が死亡した時、葬儀をした家族に5万円支給される。
被扶養者(被保険者の家族)が死亡した時、被保険者に5万円支給される。
任意継続被保険者
国民皆保険制度 → 仕事を退職しても、どれかの保険に加入する必要がある。
・健康保険の任意継続被保険者
・国民健康保険に加入(資格取得の届け出は14日以内にしなければならない)
・健康保険の被扶養者
任意継続被保険者 → 退職後2年間、退職前の健康保険に加入できる。
要件
・退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間があること
・資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に申請している。
↑2週間でないことに注意!
☆保険料は全額自己負担(労使折半ではなくなる)
☆給付は在職中と同じだが、傷病手当金や出産手当金は支給されない。
→働いていないので支給されない。
会社員が加入する公的医療保険である健康保険に関して
説明してきました。実技試験では高額療養費の計算問題なども
よく出題されます。確認しておきましょう。
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